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 終了してしまったが、TBS系列で放送していた「そらナビ」という番組で「産地直行」というコーナーを担当していた。全国各地のさまざまな食材の産地を訪ね、お天気と深く関わりながら美味しい食材を届けるために奮闘している人々をたくさん取材させていただいた。
 
 なかでも多かったのは、漁港への取材だ。当たり前だが漁業に関わっている方たちは、水揚げなどが天候に大きく左右される。そのご苦労や、だからこそ得られる喜びなどを映像を通してお伝えしてきた。
 
 その活気溢れる漁港が、美しかった港町が、人情溢れる心優しい人々の暮らしが、一瞬にして津波に呑み込まれていく・・

 映像の仕事をしていながら、これほど酷な映像を見たのは初めてだ。撮影でお世話になった方々の顔が次々と思い浮かぶ。比喩でなく、胸が張り裂けそうな気持ちでニュースを見つめた。これを書いている現在、いまだ安否はわからないがどうかみなさん無事でいてほしいと願う。


 その未曾有の大震災から5日が経った。テレビを見ていると、やたらと公共広告のCMばかり流れる。一般企業がCMを自粛しているのだろう。

 テレビだけではない。なんだか日本全体が自粛・節制・忍耐モード。全国でスポーツやコンサートなどイベントの中止が相次いでいる。名古屋のテレビ塔もしばらく消灯するそうだ。

 地震の影響がある地域で、安全上の観点から余儀なく中止するイベントや、停電や節電のため営業時間を変更せざるを得ない施設・店舗などは仕方ないと思う。震災で亡くなられた方々に哀悼の意を表するのも、被災されて大変な思いをしている方々に思いを馳せ、無事を祈ったりエールを贈ることももちろん大事なことだとは思う。

 しかし、ここ名古屋で被災しなかった私たちができることって何だろう。自粛したり節制したりすることなんだろうか。そう考えていた時、出勤途中の車の中でFMラジオから聴こえてきたDJの声。

「○時になりました。私○○○○(DJ名)が、いつもの通り○○○○(番組名)をお届けします!」

 いつもの通り。そうだ。そうなのだ。
 被災しなかった私たちは、いつもの通り精いっぱい日常を生きよう。

 いつもの通り働いて稼ぎを得て、いつもの通り買い物したり食事したりしよう。
 いつもの通り音楽を聴いたり映画を観たり、いつもの通りスポーツも楽しもう。

 そうした消費活動から企業や商店はまっとうな利益を上げ、きちんと税金を納めればいい。そうして選挙があれば投票へ行き、ただしい税金の使い方をしてくれる人を選べばいいのだ。

 既に大手の衣料品メーカーやスーパーなどが被災地に支援物資を届け始めているという。それだって、企業がちゃんと利益をあげているからこそできる活動だと思うのだ。そういう活動をしているメーカーで春物の服を買ったり、スーパーで食材を買うことは間接的だけれど支援していることにならないだろうか。

 被害の甚大さからも阪神大震災の例からも、間違いなく復興には長い長い時間がかかる。膨大な額の資金も必要となるだろう。
 幸運にも被災しなかった私たちは、働いて、税金を納めて、きちんと消費する。ズタズタの日本経済を今こそしっかりと支える。それも立派な支援のカタチだと私は思う。

 ・・・そんなことを考えながら、いつもの通り懸命に働いています。



 もうひとつ。以前、中部電力のお仕事をさせていただいた経験から、節電について私の知りうる限りの情報を記しておきます。
 
 全国の電力会社間には、非常時(真夏の過剰消費、落雷など)に備えて電気を融通しあうシステムがあります。中部電力では、新信濃変電所などで50hz/60hz周波数変換を行い、基幹給電制御所などでの24時間態勢のコントロールのもと、必要があれば東日本への電力供給を行っています。
 
 しかしながら変換や送電の能力には限界があり、また電気は備蓄することができないため、中部地方で私たちが節電した分がそのまま被災地へと届くわけではありません。既に地震発生後から通常業務として電力融通は最大限行われており(参考:中部電力HP)、それでも足りないから計画停電などが行われているのです。
 
 もちろん日頃の心がけとして個人で節電することは大切なことですが、電気を使わなければ営業できない施設や店舗に自粛を求めたり、非難中傷することは避けてほしいです。そこには必ず働いて糧を得ている人々がいるのです。いつも通りの営業ならば、何ら影響はないのですから。
 
 
  しばらくブログ更新をお休みしている間に、音楽スタジオを開業しておりました。音楽に限らずエンタテインメント系はこういう時「不謹慎な」と批判を浴びることが多いです。しかしシンディ・ローパーが言っているように、音楽は人に勇気や元気を与えることができるはず。私たちはそんなお客様のために、いつもの通り店を開けて元気にお迎えしていきたいと思います。目の前の日常を精いっぱい生きることが復興のお手伝いになると信じて。
  
  最後になりましたが、福島県いわき市小名浜「さすいち」の小野さんご一家とスタッフの皆さんのご無事を心よりお祈りしております。


  追記:先日「さすいち」さんのご家族、従業員全員無事との連絡がありました。うちのディレクターのTwitterに情報を下さったいわき市の方、ほんとうにありがとうございました。小名浜港がまた元通りさんまの豊漁に沸く日まで、私たちにできることを考え続けながら応援していきたいと思います。

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