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 ♪伊勢へ行きたい 伊勢路が見たい せめて一生に一度でも
 
 『伊勢音頭』の一節です。(台本の初稿に書いたのに、見事にカットされたのでここで復活)
 唄にも歌われるほど、江戸時代の人々にとって伊勢参りは庶民の一生の夢。移動を厳しく制限されていた時代にあって、伊勢神宮に詣でることは信心深さもあっただろうが、何よりも唯一憧れの観光旅行に近かったような気がする。
 60年に一度大ブームが起きているようだが、いちばん凄かったのは文政13年(1830年)。南は九州鹿児島から北は東北秋田まで、430万人もの人が伊勢をめざしたという。当時の日本の人口が3200万人ほどだから、日本人の7〜8人に一人は伊勢を訪れたわけだ。
 ちなみに、人気グループ嵐の昨年の全国ツアーでは全15公演で76万人の動員があったんだって。比べるのはちょっと違うかもしれないが、ブームという点では完全に伊勢参りの勝ちだ。
 
 江戸時代の旅は街道が整備されていたとは言え、時間もお金もかかる。それを支えたのが伊勢神宮のお膝元、伊勢の人々だ。
 街道で食べ物や宿、わらじなどの旅道具やお風呂まで無料で与える「施行(せぎょう)」が盛んに行われたという。「抜け参り」と呼ばれるように、家や職場を抜け出し、親や奉公先の主人に無断でお参りに出ちゃう人々もいたそうだが、着の身着のまま旅に出てしまってもなんとかなったということらしい。
 主人が病気で伊勢参りに行けなくなったため、飼い犬を行かせちゃった人もいる。福島の旧家で飼われていた「シロ」は、首に「この犬は主人の代わりに皇大神宮にお参りさせる」旨を書いた袋をくくりつけられ一人(一匹)で旅に出たところ、2ヶ月後にちゃんとお伊勢さんのお札を持って帰ってきたという。忠犬ハチ公もびっくりだ。道中さまざまな人がシロに食べ物を与えたり一緒に歩いたりしたらしい。
 
 伊勢の人々は「自分たちの暮らしがあるのはお伊勢さんのおかげ」と考え、旅人たちは「無事にお参りできるのは伊勢の人々のおかげ」と言い、いつしか伊勢参りのことを「おかげ参り」と呼ぶようになったんだそうな。
 
 
 なんでも今年は60年に一度の「おかげ年」にあたるのだそうで、番組で伊勢神宮の特集を組むことになった。私たちポルックスは年間400万人の来場者を誇る伊勢の人気スポット「おかげ横丁」を担当することに。
 
 おかげ参りの頃の賑わいをと、伊勢路の街並みを再現してつくられたのが「おかげ横丁」だ。赤福や伊勢うどんを始めとする伊勢路の食べ物やお土産品があって、いつも大勢の人で賑わっている。
 実はわが家も家族で毎年のように訪れていて、赤福氷やてこね寿しなどさんざん堪能させてもらってきた。よし、おかげ横丁なら詳しいぞ。まかせとけ、と取材に向かったのだが。
 
 いざ取材してみたら、知らないことがいっぱいだった。
 
 ロケ日は偶然だが6月1日。1日と言えば、赤福の「朔日餅」がある。確か早朝から発売されるんだよな。よし、じゃあその発売時間からカメラを回そう。
 と思ったら、最初に取材したラーメン屋さんが「31日は夜中の12時に店を開ける」という。朔日餅に並ぶお客さんに深夜ラーメンを食べてもらえるように。
 「わかりました、じゃあ夜中の12時に来ます!」
 次に打合せしたおかげ横丁の広報の人は「あぁそれなら31日は『みそか寄席』がありますよ」と笑顔でおっしゃった。朔日餅に並ぶ人のために、月末の夜7時から落語会を開いているのだという。
 「わかりました、じゃあ31日の7時に・・」
 
 と、どんどん撮影開始時間が早まり、なんと31日の夜から翌1日の夕方まで、ぶっ通しでロケという前代未聞の事態になってしまいました。寝ずにカメラを回し続けたうちのディレクターは、横丁のあちこちで「あれ、まだいるの?」「大変ですね」と呆れられるやら気の毒がられるやら。
 
 苦労はしたけれど、おかげ横丁に行ったことのない人はもちろん、何度も行っている人でもきっと楽しめる内容になったと思います。だって私も思ったもの。来月あたり朔日餅買いに行こうかなぁって。うちのディレクターには激しく却下されそうだけど。


 この模様は、6月13日(日)の東海テレビ「スタイルプラス」で放送される予定です。
 最後になりましたが、伊勢福の三田さん、郡山さん、そして横丁の住人の皆さん、うちのロケ隊が長時間お騒がせいたしました。あたたかく迎えていただけたことが何より嬉しかったです。この場を借りて心よりお礼申し上げます。




 おまけに。

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 横丁で見つけたもの。昔懐かしい井戸やポストがあります。
 屋根瓦の上にはよく見ると、あちこちに可愛らしい動物たちがいます。
 どこにあるか、おかげ横丁に行ったらぜひ探してみて下さい。
 
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by aya_harumi | 2010-06-11 14:46 | 日記