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お天気に想う。
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 毎朝毎晩天気予報が気になる。
 晴天の日が続けば「そろそろ一雨きてくれないかなぁ」と願い、雨が降り続くとそれはそれで心配になってくる。気温や風の変化にも以前より敏感になった。
 
 それというのも、庭の一角に小さな小さな畑をつくったからだ。
 
 秋風が吹き始めた頃から暇を見つけて少しずつ耕し、先月この畑にホウレンソウや春菊の種を蒔いた。イチゴやエンドウ豆の苗も買ってきて、小さな菜園も少しずつ賑やかになってきている。小松菜やサニーレタスは既に何回か食卓に彩りを添えてくれている。
 

 先月は雨が待ち遠しくてたまらなかった。
 以前、このブログにも「雨は私たちの仕事にとって大敵」と書いたのであまり大きな声では言えなかったが。いや、もちろん今だってロケや取材の日はすっきりと晴れてほしいと思っているが。
 
 種まきをしたものの、なかなか芽が出てこない。家庭菜園の本を読むと「発芽するまでは土が乾かないようにしましょう」と書いてある。ジョウロで水やりをしたりしていたが、どのくらい与えればいいのかよくわからず手加減しながらだったからか、畑は沈黙を守ったままだ。
 
 失敗したか、と思いかけた時。
 夕方ポツポツ・・ときたかと思ったら、サァーッと雨が降り始めた。小一時間ほど降ってすぐにやんだように思う。
 
 翌朝見ると、土の上に一列にホウレンソウの小さな芽が並んでいた。昨夜の雨でいっせいに発芽したようだ。ジョウロの水じゃなくて、天から降る雨の方が刺激になったのかもしれない。雨の力ってすごいなぁとあらためて思った。
 
 その後、まだ苗が小さかった時に今度はかなり強い雨が降り続いた日があった。畑は水没、苗もこのままだと根腐りしてしまいそうだ。「もういいよ。もうそろそろやんでくれ」と天に向けて願う。幸い雨が降り止んだ後でしばらく晴天が続き、育ち始めた野菜はなんとか無事だった。今度はお天道様の偉大さをあらためて噛み締めた。
 
 今月に入ってからは、さらに雨が恨めしい。先月に比べ日差しが弱まり、日も短くなったせいか、一度雨が降るとなかなか土が乾かない。朝晩冷え込む日も多くなりそろそろ霜の心配もしなくてはいけない。雨が降らない悩みは水やりでしのげるが、まさか畑の土をドライヤーで乾かすわけにもいかず、天気予報とにらめっこの日が続いている。
 

 「そらナビ」というお天気情報番組を担当している。番組の中の「産地直行」というコーナーで、全国各地に食材の産地を尋ねて取材させていただいている。畑で野菜をつくったり海で魚をとったり自然相手に頑張っていらっしゃる方たちにお天気への想いを伺ってきた。
 
 当たり前だがお天気はどうにもならない。雨が多い年があれば少ない年もある。台風や豪雨が大切に育ててきた野菜を台無しにしてしまうこともある。海が荒れて船が出せないとか、気温が高く不漁が続いていると嘆く漁師さんもいらっしゃる。時には「しゃあないなぁ」と諦めることもあるのだとか。
 
 その気持ち、今はすごくよくわかる。素人の家庭菜園ですらハラハラするのに、まして生活がかかっている農家や漁師さんたちは天にも祈る心地だろうと思う。思い通りにならない自然を相手に、人間の知恵が及ぶ範囲はごくわずかなのだと教えてくださった農家の方もいた。それだけに、美味しいものを届けることができた時の喜びもまた大きいのだと。
 
 この番組を担当するようになって畑へ行く機会が増え、野菜づくりも面白そうと軽い気持ちで始めた菜園だったが、あらためて農家の方たちの大変さを実感できている。自然の恵みに感謝する心も。
 
 
 朝のうち晴れていた空が、今またどんよりと曇ってきている。午後からは冷たい雨になりそうだ。どうか早めに低気圧が通り過ぎて、暖かな日差しが戻ってきますように。
 あした天気になぁれ。
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